クリアレビュー【ヴァルキリーエリュシオン】評価2.8/5.0【バトルは面白いけど……】

総評:完全なボリューム不足

 このゲームを一言で表現すると「惜しい」作品であると思う。

 戦闘システムは悪くなく、ボタン操作が多いものの、派手で迫力なバトルが繰り広げられる。とはいえ、まだまだ粗さが目立つ結果となったが、その最たる理由がボリューム不足であると考えられる。

 ヴァルキリーシリーズは、初代であるヴァルキリープロファイルを始めとした、北欧神話をベースにしたRPGだ。発売された当初は、美しい2Dのグラフィックと、戦士たちの死をテーマにした物語、爽快なバトルシステムなど、非常に魅力ある作品としてファンを獲得。

 長年新作が出ることがなかったシリーズに、新しいタイトルが追加されたことが分かり、私もファンの一人として、とても楽しみにしていた。

 しかし、実際に遊んでみると、残念であると言わざるを得ない。戦闘システムが変わったことは別に問題ではないが、ボリューム不足であるが故に、様々な面が残念なことになってしまった。

 以下に、よかった点と悪い点、そして個人的にこうして欲しかった点ということを、まとめていきたいと思う。

良かった点

  • バトル
  • エインフェリアとの会話
  • 過去作に登場した単語がある

バトル

 最初の部分で述べたが、本作はヴァルキリーシリーズとして新しいタイトルであるものの、これまで(特にレナス、シルメリア)とは違い、完全なアクションRPGとして一新された。

 これをどう考えるか、ファンの中でも賛否両論あると思うが、私は新しいシステムを好意的に受け止めた。 というのも、やっていて、凄く楽しかったのだ

 ボタンは基本的に□と△を組み合わせることでヴァルキリーの攻撃アクションを行う。これは無双シリーズや、ニンジャガイデンなどにも使われる、ある意味馴染のあるシステムだ。

 それに加え、R1とR2を押した状態では、各ボタンの役割が変化し、ディバインアーツ(魔法)とエインフェリアを召喚をすることが出来る。

 エインフェリアの召喚は実際に戦ってもらうだけでなく、各エインフェリアに応じた属性がヴァルキリーにエンチャントされ、戦闘で有利に立ち回ることが出来る。

 ディバインアーツも、敵の弱点に合わせて繰り出すことが重要であり、常に敵の弱点を見極めつつ、それに応じたアクションを行うことが必須になってくる。

 確かに大変なことであるが、ディバインアーツはド派手で気持ちよく、続々とエインフェリアを繰り出し敵に共に立ち向かうのは、見ていて楽しいし、操作していても楽しかった。これは間違いなく本作の魅力である。しかし、その楽しい戦闘も、細かい不満というのはあるのだが。

エインフェリアとの会話

 ヴァルキリープロファイル・レナスでは、勇敢な戦士を戦力として加え、仲間とする。そのため、各キャラクターは死のイベントを通じて仲間になるのだが、それ以降ヴァルキリーと会話がほぼない状態となる。

 だが本作では、仲間になった後も、イベントでも会話をしたり、サブクエストでキャラクターの頼み事をこなしたり、エインフェリアとの絡みが用意されている。

 これは個人的にいいなぁと思ったところだ。せっかく仲間になっても、会話も一つもないのは寂しいと思っていたし、もっとキャラクターを深堀してほしいとも思っていたからだ。

過去作に登場した単語がある

 自分は、残念ながらシリーズのファンと言いつつも、初代のレナスのみプレイしている(二作目であるシルメリアは途中で頓挫してしまった)。

 だが、そんな私でも、ゲームを通じて「おっ!」っと思える単語があった。こういう、過去の作品をやっていて知っている単語が登場すると、素直に嬉しいと思う。だからと言ってどうだって話だが、ファンからすれば嬉しいことだと思っている。

悪かった点

  • ボリューム不足
  • シナリオの説明不足
  • 意味のないギミック
  • その他細かい点

ボリューム不足

 本作の最大の欠点、それは「ボリューム不足」である。

 ではボリューム不足とは、具体的にどういった部分のことを指すのか。

  1. シナリオ
  2. モンスター
  3. エインフェリア
  4. ステージ
  5. 武器

 全体的にボリューム不足であると感じたが、シナリオ面では、ストーリーが短い。プレイ時間は約24時間ほどであるが、メインストーリーでは約18時間ほど。これではやや物足りないと感じた。ゲーム中会話があるのは、限られたシーンということもあって、余計にそう感じたかもしれない。

 モンスターの数は、同じ形状の敵が多く、大体が同じ型の、属性が違うタイプが多かった。あとは上位種もいたが、似たような敵が多く、戦っていて単調に感じてしまったのは事実。

 あとエインフェリアは、本作では四人。初代レナスでは十数人だったため、この人数になったしまったのは素直に残念。

 ステージの数も少なく、基本的にダンジョンなどといったものはなく、ステージとして区切られたフィールドを探索するような感じである。物語はチャプターで区切られているものの、同じフィールドを探索することもあり、ダンジョン攻略の楽しみが半減された。

 ヴァルキリーが扱える武器の種類は、片手剣、レイピア、騎士剣(両手剣)、槍が二種、ロッドと六種類。しかし、ヴァルキリーはそれぞれ一種類ずつしか武器を所持していない。片手剣であればアルファズルだけということだ。RPGであれば、もっと同じカテゴリー内で数を増やしてほしい。

シナリオの説明不足

 シナリオのボリューム不足については、先にも述べたとおりであるが、それもあって、説明不足にように感じる。

 世界の救済という役割を担っているヴァルキリーであるが、その世界の救済に対する具体的な手順や戦う理由など、ろくに説明されず人間界に赴くことになる。

 レナスでは世界の終末であるラグナロクに備えるためにエインフェリアを集め、そして彼らを鍛えるためにダンジョンがあり、成長した彼らを天界に送るという一連の流れが明確に描かれている。

 しかし本作では人間界に赴き、不死者を浄化していくが、その過程で偶然エインフェリアになりえる人物たちと出会う、なんとも行き当たりばったりに思える展開が多かった。

 シナリオの説明不足というよりも、物語の展開に無理がある、違和感があるという感じだろうか。

意味のないギミック

 本作では、果たして意味があったのか疑問に思ったシステムがあった。

  1. チャプタークリア後のランク
  2. エインフェリアギミック

 まず本作はチャプターごとに区切られて攻略していくことになるが、チャプタークリア時、攻略時間や受けたダメージ量などに応じて得点が計算されて、ランク付けされる。

 このランクだが、最大評価はSであるが、最低ランクのCであっても、得られる報酬などに違いはない。それではランク付けには一体どんな意味があるのか不明である。

 そしてエインフェリアギミックも、意味があるのか疑問だ。このエインフェリアギミックとは、対応するエインフェリアを召喚することで、新たな道を作るシステムである。例えば、道が岩などで塞がっていたら、それを破壊するエインフェリアを召喚する必要があるが、果たしてこれは必要なシステムだっただろうか。

 対応するエインフェリアがいなければ道が開けない場所があるのはいいが、それが最初のステージに存在していて、後々仲間になったエインフェリアがそのステージで道を開ければ意味があるだろう。しかし、本作では特にそういった部分はなく、ただ先に進むだけで使用されているのは、どうも存在意義が薄い気がする。

 こういう風に、果たしてシステムとして必要であったかどうか疑問に思う部分はある。

その他細かい点

 上記以外にも気になった点を列挙していく。

  1. カメラアングル
  2. フィニッシュムーブ
  3. 再度チャプターを選択したとき

 このゲームは戦闘は楽しいものの、カメラアングルが悪い。それによってバトルの楽しみが半減しているように思える。

 また敵のHPを一定値以下にした場合、とどめとしてフィニッシュムーブを繰り出すことが出来るが、マニュアルだと上手く作動しないことがある。

 本作には欠魂花や翠魂花という、一種の収集要素があるのだが、チャプターで取り逃した場合、再度チャプターを選択する必要がある。しかし、チャプターを選択後、無事に回収できたとしても、そのチャプターを再度クリアしないといけないのだ。できれば、回収したらステージを抜け出すようなシステムがあると助かった。

 まだまだ気にある点はあるのだが、特に気になった点として、これらを挙げさせていただいた。

個人的にこうして欲しかった点

 良かった点、悪かった点を挙げてさせていただいたが、あとは個人的にこうしたほうが良かったと思える点を述べていく。

 それは魔晶石の扱いについてだ。

 本作ではヴァルキリーの成長、および武器の成長は、魔晶石と呼ばれるものを消費して行うことが出来る。魔晶石以外にも必要となるものがあるが、基本的には敵が落とすものを使ってヴァルキリーは成長する。

 だが、彼らの役割はそれしかないのだ。

 何だかそれではもったいないように思える。ヴァルキリー以外にも、エインフェリアを成長するために魔晶石を使ったり、ディバインアーツのレベルアップも、この魔晶石を行えるにすればいいのでは?と思った。

 それ以外にもアイテムの購入に魔晶石を用いることが出来れば、攻略も楽になると思ったし、魔晶石の存在意義もあるんじゃないかと考えた。

 あくまで個人的に思ったことであるので、参考程度に思ってほしい。

最後に

 本作は非常に「惜しい」作品として、残念な結果になってしまった。

 しかし、長年沈黙していたシリーズの最新作ということで登場したことは、意味があることだと思う。

 もちろんシリーズのファンとしては、もっとこうして欲しい、ああして欲しいという願望があったと思うが、それでも何かしらの形で世に出てきたことは、個人的に非常に嬉しいことだった。

 これを機会に、またシリーズの新作が出る可能性に巡り合えたことを感謝したい。

 次の新作が、どのような形になるのか、非常に楽しみである。次回作にぜひ、期待したい。


 

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